第5回 議論の面白さ
この国で法律を学び始めたころ、ニュージーランドの裁判所ではどんな議論が正当な議論として受け入れられているのだろう、といつも考えていました。結局、この疑問に対する回答は多くの判例を見ることでしか理解できないと思い至りましたが、今回は中でも議論の面白さが印象に残っている英国の判例を紹介しましょう。
Rosebank Law – Japanese Lawyer in New Zealand
この国で法律を学び始めたころ、ニュージーランドの裁判所ではどんな議論が正当な議論として受け入れられているのだろう、といつも考えていました。結局、この疑問に対する回答は多くの判例を見ることでしか理解できないと思い至りましたが、今回は中でも議論の面白さが印象に残っている英国の判例を紹介しましょう。
契約成立後、実際にはその契約書に明記されていなくても、契約交渉中に一方が明言した重要な事柄が事実でなかったことを証明すれば、賠償を求めるか、場合によっては契約をキャンセルすることも可能です。それでは、一方が明言した事柄が「半分真実」だったという場合はどうでしょうか?
あなたが誤って車で人をはねたとします。あわてて近くの店に飛び込み、救急車を呼んでいる間に、たまたま近くを通りかかった悪い人が、はねられて倒れている人から、300ドル入った財布を盗んで逃げてしまいました。さて、あなたの起こした事故がなければ、財布が盗まれることもなかったのは事実でしょうが、あなたはこの300ドルにも責任を負わなければならないのでしょうか?
止めておいたあなたの車に誰かの車が衝突してきたとします。この場合、相手の責任は明白であるように思われますが、もしあなたが駐車禁止の場所に止めていた場合はどうでしょうか?相手はこう言ってくるかもしれません。「あなたがこんな所に止めていなかったら、事故は起こらなかった。だから私の車の修理代を支払え!」
第1回 争議審判所
ニュージーランドに長く住んでいても、争議のために裁判所へ行くことはあまりないと思います。しかし、比較的小さな問題は短期間の滞在でも、私たちの周りでしばしば起こります。例えば、貸した金の期日が過ぎ、催促しても返してくれない、車の修理代が見積額よりかなり高い、もしくはペンキ塗りを頼んだが仕上がりが不十分なので支払いたくない、といった問題です。このような場合、あまり費用をかけずに自分で解決するための公的機関が争議審判所、Disputes Tribunal(ディスピューツ・トライビューナル)です。初回はこの機関の利用の仕方と私自身の体験についてお話しします。